坂口安吾「堕落論」

少し前のことになるが、ある宴会で初対面であったがIさんと話が合って盛り
上がった。![]()
その後、2次会に、あるスナックに一緒に行った。
そこで、グダグダといろんな話でさらに盛り上がったのである。![]()
唐突に、Iさんは僕に、「あなたの人生を変えた一冊の本ってありますか?」と
質問された。
一冊をあげろ!といわれても、急には思いつかなかった。
夏目漱石は大好きだし、青春時代には武者小路実篤の「青春に寄せる言葉」
を表紙がぼろぼろになるまで読んだ記憶がある。
亀井勝一郎も好きだったし、宮沢賢治は童話が大好きである。
といっても、人生を変えるほどの衝撃があったわけではない。
(そのときはあったのかもしれない)
最近では、お釈迦さまの教えに一番近い経典といわれる「法句経」(ダンマ
パダ)は、いつも手もとにおいて読んでいる。
といって、「人生を変える」には至っていないような気がする。
Iさんは、「人生を変えた」本は、20才前に読んだ坂口安吾の「堕落論」だと
おっしゃった。
坂口安吾?プロレスラーだったかな?
それは坂口征二か・・・俳優・・・それは息子の坂口憲二でしょう。![]()
かずぼうは、彼の本は読んだことはない。
近所の画廊経営の友人Sさんにその話をすると、若いころ読んだ記憶がある
という。
気になるので、その本を読んでみたのである。
坂口安吾は、新潟に大正8年に生まれ、昭和30年に亡くなっている。
新文学の旗手として脚光を浴び、時代の寵児、無頼派として名を成した。
だれよりも冷徹に時代をねめつけ、だれよりも自由に歴史を嗤い、そし
てだれよりも言葉について文学について疑い続けた作家であり評論家
であったという。
「堕落論」をざっと読んで、気になった箇所は・・・
人間は堕落する。
義士も聖女も堕落する。
それを防ぐことはできないし、防ぐことによって人を救うことはできない。
人間は生き、人間は堕ちる。
そのこと以外の中に人間を救う便利な近道はない。
戦争に負けたから堕ちるのではないのだ。
人間だから堕ちるのであり、生きているか堕ちるだけだ。
だが人間は永遠に堕ちぬくことはできないであろう。
なぜなら人間の心は苦難に対して鋼鉄の如くでは有り得ない。
人間は可憐であり脆弱であり、それ故愚かなものであるが、堕ちぬく
ためには弱すぎる。
人間は結局処女を刺殺せずにはいられず、武士道をあみださずには
いられず、天皇を担ぎださずにはいられなくなるのだろう。
だが他人の処女でなしに自分自身の処女を刺殺し、自分自身の武士
道、自分自身の天皇をあみだすためには、人は正しく堕ちる道を堕ち
きることが必要なのだ。
そして人の如くに日本もまた堕ちることが必要であろう。
堕ちる道を堕ちきることによって、自分自身を発見し、救わなければな
らない。
政治による救いなどは上皮だけの愚にもつかない物である。
意味深長ですなあ・・・。







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